
まず著者の紹介だが、アメリカ在住の日本人女性で、ニューヨークのNGOや日系金融機関で就労後、今はジャーナリストとして活躍されている方だ。
同書は、前書「ルポ 貧困大国アメリカ」の第二部作で、今回は主に、教育(学資ローン)、医療、刑務所問題などに焦点を当てている。
同書は、日本でベストセラーにもなったと聞くが、アメリカの貧困問題が日本でもこれだけ関心が高いことには正直驚く。アメリカの現状が将来の日本の姿としてとらえられているのかも知れないが、少なくとも同書で書かれていることが将来日本で起こらないことを切に願いたい。
さて、最初の教育(学資ローン)だが、一般にアメリカの私立大学の学費は、日本円で年間300-400万円前後であるらしい。日本の大学(文系学部)の学費が年間、100万円前後と考えるといかに日本の学費が安いかあらためてわかる。余談だが、私の息子が通っているドバイのアメリカンスクールの学費も小学校2年生で、日本円で130万円前後であるから、大学で300-400万円というのはアメリカでは一般的なのであろう。
話しがそれたので戻るが、学費が年間300-400万円ということは、アメリカでは卒業までに学費のみで約2000万円程度の費用が必要ということになる。これに生活費なども入れたら更にお金が必要になるわけだが、多くの学生はこの費用を賄うために学資ローンというものを利用しているらしい。そのため、大学を卒業した時点で、借金が2000-3000万円程度あることも珍しくないとのことで、現在の日本ではこのようなことは考えられない。
もちろん卒業後すぐに、年収1000万円前後の職に付けば、学資ローンの返済もさほど問題はないだろうが、昨今の経済不況やエリート大学の卒業生以外は、このような高所得の職に就けれないことから、高額の学資ローンの返済に苦しむ学生(卒業生)が非常に増えているとのことだ。
大学卒業時に借金が数千万円程度あること自体、非常にショッキングであるが更に驚かされることはこの学資ローンの取り立てが日本のサラ金並み(又はそれ以上に)厳しく、就職が出来なかった又は失業したことにて、返済が滞ったことにて社会の階層を転落していく若者が非常に多いという事実だ。
日本では、例えば多くの借金を抱えても自己破産という制度にてもう一度(人生を)リセットすることも可能であるが、アメリカの学資ローンに関しては自己破産というものは適応されないため(学資ローンのみ自己破産が適応されない)どういう状態であろうと、返済をする必要がある。このため返済不能になっても解決策はなく確実に社会の底辺に転落をするという恐ろしいシステムであるが、学資ローンがこのようなシステムになっていること自体、借りようとする18歳前後の若い学生たちは知ることもなく、学資ローンを提供している金融機関が莫大な利益をあげているらしい。
同書では、その他にも医療問題(医療保険)、社会保障(年金)、刑務所の民営化やアウトソーシングなどに付いても書かれており、全て非常にショッキングな内容である。
過去、日本は常にアメリカを一つの模範としてきたが、同書に書かれているようなことだけは避けてほしいと切に願う。








